米国債の長短スプレッドから〇〇ショックがくるか考えてみる

2018年10月1日

経済・トレードの分析

t f B! P L
ここ最近、米国の長期金利やイールドカーブの話題をしばしば聞くようになってきました。

イールドカーブとは、異なる残存期間や金利(利回り)の関係を表す「利回り曲線」のことをいい、利回りの変化がわかります。

イールドカーブを見ればこれからの景気や中央銀行(FRB)の金融政策などが予測できると言われています。

金利は企業経営だけではなく、個人レベルでも住宅ローンに影響してきます。特にアメリカでは住宅ローンで家を購入している市民が多いとのこと。

クレジットや借金にも抵抗が低い国民性なのでしょう。サブプライムローンのこともありますし、アメリカ国債のイールドカーブについて考えてみたいと思います。

長期金利が短期金利を上回り、右上がりのイールドカーブとなる曲線の状態を「順イールド」と言います。逆に、短期金利が長期金利を上回り、右下がりのイールドカーブとなる曲線となる状態を「逆イールド」と言います。

この金利の水準をみることで将来的に金利が上昇するのか下落するのか、市場参加者がどのように考えているかがうかがえます。

また、長期金利が上昇し、短期金利との差が拡大し、傾きが大きくなることを「スティープ化」と言い、長期金利と短期金利の差が小さくなり、傾きが小さくなりカーブが緩くなることを「フラット化」といいます。

順イールド短期金利より長期金利の方が高い
逆イールド短期金利より長期金利の方が低い
スティープ化長期と短期の金利差が広まりグラフが傾く(通常は右肩あがり)
フラット化長期と短期の金利差が縮まりグラフが水平に近づく
一般的に、景気拡大時や平常時にはスティープ化し順イールドに、金融引き締め時にはフラット化し逆イールドになりやすいとされています。


長短スプレッドの差で考える


イールドカーブは、Financial Timesなどのサイトで見ることができます。

債権の利回りと残存期間に過去のデータを合わせ、時系列を踏まえて考えようとすると、チャートにして視覚化するのが難しいので、ここでは長期と短期の金利差を思案してみたいと思います。

よくニュースやサイトで見るのは、2年と10年のスプレッド差です。10年は長期金のベンチマークだとしても、なぜ2年なのかはわかりませんでした。2年債の流動性が高いのでしょうか?

とは言え、みんなが見ているなら注目度も高いとは思います。なので、「2年―1カ月」「10年―1カ月」「10年―2年」と長期金利から短期金利を差し引いてグラフにしてみました。

「米国債の長期・短期の利回り差」「ダウ・日経平均の株価」「ドル円・ドルインデックスの為替相場」とデータが取れた2002年から、3つのグラフを作成しました。

日本のバブル後のチャートになりますが、それ以降はダウと日経平均は同じような動きをしています。

グラフを一つ飛ばしてドルインデックスとドル円を見ても、これも同じような動きをしています。この2つに関しては多くのひとの予想と同じだと思います。

日経平均とダウのチャート
ダウ、日経平均の終値チャート

長短スプレッドのチャート
米国債の長期―短期の利回り格差

ドル円とドルインデックスのチャート
ドルインデックス、ドル円の終値チャート

真ん中の利回りチャートは長期から短期を引いていいます。
数字が小さくなれば利回り差がなくなります。つまりフラット化していきます。マイナスになれば逆イールドになっているイメージです。

2006年あたりから逆イールドカーブになっていると推測できますが、株式相場も為替(ドル円)も上昇しています。

今までは逆イールドになると、リスクを取ってまで株取引をやる必要はないので、リスクのより少ない債券に資金が移動し、比較的早い段階で〇〇ショックが起こるイメージでしたが、時差があって株式市場や為替市場は下がっていくようです。

もちろん外部環境もありますし、2002年より前は検証していません。
〇〇ショックがいつくるのかまではわかりませんが、今後に備える警戒を知らせるサインの一つとして考えてみたいと思います。

QooQ