インフレはCPIかGDPデフレーターどちらで調べる方が良いのか

2018年10月26日

経済・トレードの分析

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CPIのいろいろ


インフレやデフレを考える場合に、CPIを基準にするのか、それともGDPデフレーターを基準にするのかが分からなかったので違いを調べてみました。

消費者物価指数(CPI)は消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを示す指数のことで、総務省統計局のホームページで見ることができます。

  • CPI/商品を総合し全体を示す「総合指数」
  • コアCPI/価格変動の大きい生鮮魚介、生鮮野菜、生鮮果物などの生鮮食品を除い「生鮮食品を除く総合指数」
  • コアコアCPI/天候や市況など外的要因に左右されやすい食料、エネルギー価格の変動がコアCPIに影響を与えるため、消費者物価指数から、「食料(酒類を除く)、エネルギーを除いた指標」
物価は国民の金回りが良く、モノを買う人が多くなれば上昇率が高まり、逆にモノを買う人が少なくなると下降する傾向にあります。

また、どのCPIを見ても指数が上昇していればインフレに。指数が下落していればデフレの方向に傾いていると考えられます。

名目GDPと実質GDP

一方、GDP(国内総生産)は、内閣府が推計し国内で新しく生産された商品やサービスの付加価値の総計。
IMFのホームページからでも調べることができ、名目国内総生産(名目GDP)と実質国内総生産(実質GDP)があります。話はそれますが、英語が読めればIMFのホームページはデータの宝庫だと思います。

  • 名目GDP/国内で一定期間内に生産されたモノやサービスを生産量と価格で算出した付加価値の合計
  • 実質GDP/名目GDPから物価の変動による影響を差し引いたもの
実質GDPは、経済成長率を調べるときに使われますが、財やサービスを値下げをして、昨年より取引数量が増加していた場合は、実質GDP成長率がプラスになります。
なお、経済学者はGDPの話をするとき、この実質GDPを前提としてしていることが多いそうです。

個数単価売上名目GDP実質GDP
201710¥100¥1,000¥1,000¥1,000
201812¥80¥960¥960¥1,200
これはGDPの増加だけを見ていては、財やサービスの生産量が要因なのか、物価変動によるものなのかは不透明だということですね。
別の言い方をすれば、売上が同じでも価格が下がっていたら、生産量は増加しているので、成長していると考えられます。

つまり、名目GDPは金額ベースでの評価、実質GDPは生産量ベースによる計測となります。ちなみにですが、国の経済力を比較する場合はドル建て(基軸通貨)で見る方が、対比しやすいと思います。


CPIとGDPデフレーターでのインフレ率


それではGDPデフレーターを見てみます。
GDPデフレーターとは、名目GDP(名目国内総生産)から実質GDP(実質国内総生産)を算出する時に使う物価指数のことで価格水準を数値化します。

各年を比較すればインフレ率がわかりますね。公式に当てはめるとこのようになります。
GDPデフレーター = 名目GDP / 実質GDP × 100
GDPデフレーター、CPI、コアCPI、コアコアCPIのグラフ
それぞれのCPIとGDPデフレーターを表したグラフ

CPIとGDPデフレーターの違い(乖離)については、総務省のホームページに記載(G-8)がありますが、長くなるのでここでは割愛します。

確かにどの消費者物価指数とGDPデフレーターとでは相関があり、特に近いのはコアコアCPIです。インフレに関する詳細な分析をしないのであれば、違いを気にする必要はなさそうですね。(こういう甘い考えがダメなのか?)

ただ実は、1980年からデータ取得ができましたが、1980年ごろの動きが激しくグラフが見にくくなるので1982年からの表示にしています。

1980年といえば、第二次オイルショックのピーク。
原油と経済の状況もしばしば耳にしますし、無関係とは思えません。

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