原油価格(WTI)と株式相場(SP500)の関係性

2018年11月23日

経済・トレードの分析

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原油価格に関するニュースは昔から定期的に耳にします。オイルマネーであったり中東問題、少し前にはシェールガスも話題になりました。

原油はエネルギー源として利用する以外にも、プラスチックなどの石油化学製品にも使われるので物価にも影響してきます。

政治的な思惑・陰謀論的な話をする人もいますが、原油は日常になくてはならないものなので、今回は原油と経済について思案してみたいと思います。



ウィキペディアによると
原油が資源として大量利用されるようになったきっかけは19世紀半ばに鯨油に代わって灯油がランプ油として利用されるようになってからである。
現在の技術で、経済的に採取できる埋蔵量を確認埋蔵量と呼ぶ。技術の進歩や石油価格の上昇などによる損益分岐点の変動が起こると、確認埋蔵量が増える。したがって、確認埋蔵量は新しい油田の発見がなくても変化する。
ベネズエラサウジアラビアカナダイランイラク
17.50%15.70%10.20%9.30%8.80%
ロシアクウェートUAEアメリカリビア
6.10%6.00%5.80%2.90%2.80%
と、あります。表は2014年の埋蔵量になります。(ウィキペディアから10位まで抜粋)
原油と言えば中東のイメージでしたが中東で約半分なんですね。

昔から「原油はいずれ枯渇する」と、ことあるごとに聞かされていたのですが、そんな気配がないのは生産技術が向上しているんでしょうか。

ちなみに、19世紀半ばと言えば日本では江戸末期ですね。諸外国ではこの頃からもう大量に利用されていたとすると、当時の日本と海外との力の差は想像以上に厳しそうです。

次に同じくウィキペディアから、生産量を表にしました。
2014年、単位は「万バレル/日」になります。

アメリカサウジアラビアロシア中国カナダ
1397.31162.41085.3452.6438.3
UAEイランイラクブラジルメキシコ
347.1338337.1295281.2

2014年で既にアメリカは生産量が1位です。きっと生産技術が高いのでしょうね。
後述しますが、アメリカ・カナダ・メキシコが10位以内にランキングしているので、北米における注目度があがり、WTIの原油価格に関心を寄せるんだとか。


原油価格(WTI、ブレンド、ドバイ)に、大きな違いはあるのだろうか


一言に原油価格といっても、産油国は世界中にあるので、何を基準としているのかを見てみます。産地ごとに大きく3つの市場があるのが分かります。

  • WTI(ウエスト・テキサス・インターメディエイト) / 主に米国テキサス州とニューメキシコ州で産出される原油。硫黄分が少なく良質でガソリンが作りやすい。南米産原油の価格指標
  • ブレント原油 / 北海にある海底油田から採れる原油。硫黄分の少ない軽質油。アフリカなどの価格指標
  • ドバイ原油 / UAE産の原油。硫黄分が多い重質原油。アジアの価格指標
以前は、原油価格と言えば投機マネーが集まるWTIのことを指していたようですが、最近ではブレント原油の影響力が強くなってきたようです。
ただ、日本では中東産の使用量が多いため、ドバイ原油の価格が注目されています。

WTI、ブレント、ドバイの原油価格のグラフ
WTI・ブレント・ドバイの原油チャート(ドル建て)
それぞれの原油価格をチャートにしました。データはThe World Bank Groupから取得しています。

データが取得できた期間がまちまちなですが、どのグラフも重なっていて見にくいくらいです。各原油市場は相関性ありですね。

2010年ごろから多少のズレがありますが、ほぼ同じと考えれます。
ドバイ原油が1973年から急騰していますが、これはオイルショックの影響でしょうか。

どの産地の原油でも同じだと仮定し、比較しやすいようにアメリカを中心として取引されるWTIとSP500をチャートにしてみました。

SP500とWTIのグラフ

思ったより相関関係ってないんですね。かと言って逆相関でもなし。
生産技術が関係するのでしょうか。それとも、長期間で見過ぎているいるのでしょうか。
人が何かをするサイクルというのは景気に関わらずあると思います。比べる期間は長ければいいってわけじゃないのはわかりますが、短期でもいいとは限りませんよね。

生産技術なのか、市場の構造が変化したのか。それとも中東諸国は原油価格の値下がりの損失は、オイルマネーで投資している金融商品で穴埋めが影響しているのか。

原油価格と株価との関係はよくニュースになりますが、それぞれの事情で価格が決まっているのだと考えたいと思います。

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